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学習費用は$408減、でも学習時間は3時間増——ATD 2026 State of the Industryから読む人材開発の今と優先課題とは
ATDが毎年発行する「State of the Industry」は、世界の人材開発(TD)部門のベンチマークデータをまとめた、業界標準のレポートです。2026年版(対象:2025年の340組織のデータ)からは、人材開発の現場で何が起きているか——その複雑な実態が浮かび上がります。 2025年の主要ベンチマーク:数字で見る人材開発の現在地 費用が大幅に下がっているにもかかわらず、学習時間は増えている——この「逆転現象」が今年の最大の特徴です。 ATDはその背景として、バーチャル型インストラクターリード研修の普及による出張コストの削減、TD部門の人員削減による人件費の低下、そして管理プロセスの自動化による効率化を挙げています。 学習時間の増加 学習時間は2021年の17.4時間、2022年の20.7時間、2023年の32.9時間という高い水準から、2024年に13.7時間へと急落し、2025年に16.7時間へ回復しています。 この変動の背景には、コロナ禍後の学習形態の移行と、組織の学習文化の成熟度が反映されていると考えられます。...
6月5日


AIを定着させるのはツールではなくマネージャー:エンゲージメント低下の構造と3つの実践策
「AIを導入したが、現場が変わらない」——そう感じているリーダーは少なくないでしょう。Gallupが発表した「Employee Engagement Strategies 2026」は、その理由と、具体的な打ち手を示した実践的なレポートです。エンゲージメント低下の4つの根本原因を解説し、AI採用の成否を分けるマネジャーの役割に光を当てます。 なぜ従業員は「離れて」いくのか?:4つのテーマ Gallupは何千人もの従業員に「職場とのつながりを高めるために、今の職場経験に何が足りないか」と問いかけました。その回答は4つのテーマに集約されます。 組織文化(32%):職場が孤立的・非人格的で、つながりが感じられない。特にZ世代(44%)やリモートワーカー(41%)に顕著。 リーダーシップの透明性(29%):リーダーからの明確で誠実な情報共有が不足している。変化の理由が見えないと信頼が損なわれる。 リソースへの投資(25%):給与・ツール・人員など、組織が人への投資を怠っていると従業員は感じている。 フィードバック・承認・成長機会の不足。年に1〜2回の評価
6月5日


日本のエンゲージメントは8%——世界最低水準が続く中で、何が変わり、何が変わっていないのか
Gallupが毎年発表する「State of the Global Workplace」は、160カ国以上の従業員データをもとにした、世界最大規模の職場実態調査です。2026年版(2025年データ)では、グローバル全体のエンゲージメントが2年連続で低下するという、調査史上初めての事態が記録されました。そして日本のデータは、その文脈においてあらためて、私たちに重い問いを突きつけています。 日本のエンゲージメント:8%という数字が意味すること 8% 日本の従業員エンゲージメント率(2025年) 2012年以来、5〜6%台で推移してきた水準から微増 20% グローバル平均のエンゲージメント率(2025年) 日本はその半分以下 12年以上 日本が世界最低水準に低迷してきた期間 (2012年〜現在) 8%。これは、日本の職場で働く10人のうち、仕事に心理的にコミットしているのはわずか 1人にも満たないという現実を意味します。 日本のエンゲージメント率は、2012年のGallup調査開始以来、一貫して5〜6%台という世界最低水準に低迷してきました。2025年
6月5日


AI時代に価値を放つ「ヒューマン・プレミアム」 ——Patrick Lynch氏が語る3つのCとTHRIVEフレームワーク
「AIが普及した時代に、人間ならではの価値とは何か?」 「AIが普及した時代に、人間ならではの価値とは何か?」——この問いに、ATDポッドキャスト『Talent Development Leader』でPatrick Lynch氏が鮮明な答えを提示しています。L&Dリーダーとして活躍するLynch氏の言葉は、AIを脅威として捉えるのではなく、人間の役割の「再定義」として積極的に受け取るよう私たちを促します。 アリス効果(The Alice Effect):驚きはコモディティになる Lynch氏はまず「アリス効果」という概念を紹介します。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』に登場する女王が「驚くべきことを毎朝6つ信じる練習をしている」と語る場面から着想を得た考え方です。 AIの機能は驚異的な速さで進化しています。しかし人間は、驚異的な体験にもすぐに「慣れて」しまいます。誰もがAIを使って高速に文書を作り、コンテンツを大量生成できるようになると、それ自体はもはや差別化要素にはなりません。 Lynch氏はこれを「AI Slop(AIゴミコンテンツ)
4月28日


「AIリテラシーなき導入」の隠れたコスト ——L&D専門家が今すぐ動くべき理由
「AIツールを導入した。 でも誰も使いこなしていない——」。 こんな声、聞いたことはありませんか? AIが職場に急速に浸透する今、最も危険な落とし穴は技術の欠如ではなく、「AIリテラシーの欠如」です。 30年以上のL&D経験を持つDebbie Richards氏が、ATDのプレイブック(2025年)で鋭く警鐘を鳴らしています。 現実のギャップ:導入率80%、稼働率16% Gartnerの調査によると、80%以上の企業がMicrosoft Copilotをパイロット導入または導入計画中です。 しかし、フル稼働(Full Production)に至っているのはわずか16%。 Richards氏が支援した複数の組織での事例では、CopilotをTeams・Outlook・Wordで有効化したにもかかわらず、従業員教育はほぼゼロ。ある者は無視し、ある者は「魔法の箱」として扱いました。 技術の失敗ではなかった。——それはリテラシーの失敗だった。 「チェーンソー」のたとえ Richards氏はAIをパワーツール(電動工具)に例えます。 "AIはパワーツールだ
4月28日


「人間 vs テクノロジー」から「人間 × テクノロジー」へ ——ATD調査が示す学習設計の最適解
「対面か、オンラインか」——この問いは、コロナ禍を経た今もL&D(学習・人材開発)の現場で繰り返されます。しかし、ATDが2026年1月に発表した調査報告書『Human-Tech Interface』は、この問いの立て方自体を変えることを求めています。 445名のTD専門家と471名の学習者(いずれも米国)を対象にしたこの調査は、「最適なモダリティは目的と文脈次第」という明確な結論を示しています。 調査概要 対象者: TD(タレントディベロップメント)専門家 445名 + 学習者(一般就労者) 471名 実施時期: 2025年8〜9月 発行:ATD Research(Association for Talent Development) 2026年1月 スポンサー:Insights(Insights Discovery® を提供する組織開発企業) Key Finding 1:学習モダリティの選択 TD専門家が見る現状 組織が提供する学習手段として、最も多いのは「対面・バーチャル・ハイブリッドの人間主導型(Human-facilitated)」で8
4月28日


世界幸福度報告書2026が問いかけること ——「SNSと幸福」が職場とリーダーシップに突きつけるもの
毎年3月に発表される世界幸福度報告書(World Happiness Report)は、136か国・約10万人のデータをもとに、人々の幸福度を国際比較する権威ある調査です。2026年版のテーマは「幸福とソーシャルメディア(Happiness and Social Media)」。今回の報告書は、北欧諸国の幸福優位を確認しながら、英語圏の若者に起きている「静かな幸福の崩壊」とそのデジタル的背景を鋭く問い直しています。 今年のランキング:フィンランド首位維持、日本は61位 フィンランドが引き続き首位。アイスランド・デンマーク・コスタリカ・スウェーデン・ノルウェーが続き、北欧モデルの強さが際立ちます。コスタリカが4位に浮上したことは、ラテンアメリカ国としては過去最高順位の快挙です。 日本は61位(スコア6.130)。経済大国でありながら中位に留まる構造は変わらず、「物質的豊かさと幸福の乖離」という日本固有の課題を改めて示しています。 衝撃のデータ:英語圏・西欧の若者幸福度が急落 136か国における「25歳未満の幸福度変化ランキング」において、米国・カナ
4月28日


AIが変える人材開発の未来 「戦略的ラーニングアーキテクト」という新たな役割
はじめに:「研修の担い手」から「学習の設計者」へ AIの急速な進化は、Learning & Development(L&D)の世界を根本から変えつつあります。ATD(Association for Talent Development)の TD at Work最新号 では、L&D担当者がAIを活用して「戦略的ラーニングアーキテクト(Strategic Learning Architect)」へと進化するための具体的フレームワークが提示されています。 これはただのツール活用の話ではありません。組織の学習文化そのものをどう設計し、どうガバナンスし、どう継続的に価値を生み出すか――その全体設計者としての役割が、今L&Dに求められているのです。 AIがもたらすL&Dの3つの変革軸 Debbie Richards氏は、AIがL&Dにもたらす変革を3つの軸で整理しています。 ① Enablement(イネーブルメント):学習者の可能性を解き放つ AIによるパーソナライズド・ラーニングは、一人ひとりの学習者のペース・スタイル・ニーズに合わせたコンテンツ提供を可
3月4日


フォロワーが求める4つのニーズとは? Gallup「Global Leadership Report 2025」が示すリーダーシップの本質
はじめに:「フォロワーの視点」からリーダーシップを問い直す Gallup社はWorld Governments Summit 2025との共同研究として 「Global Leadership Report: What Followers Want」 を発表しました。52カ国・72,439件の回答を分析した大規模調査であり、国・文化・年齢・リーダーの種別を超えて共通する「フォロワーの根本的なニーズ」を明らかにしています。 リーダーシップとは、権威や肩書きによって成立するものではなく、フォロワーが自らの意志でリーダーを信頼し、その方向に向かうことで初めて機能します。では、世界中のフォロワーはリーダーに何を求めているのでしょうか。 調査概要:Gallup Global Leadership Report 2025 調査対象国:52カ国(30言語で実施) 調査主体:Gallup × World Governments Summit 2025 回答数:72,439件 調査手法:Webアンケート(25カ国)+対面インタビュー(27カ国) 各国サンプル数:n=
3月4日


AIコーチングは人間コーチの代わりになるのか? 世界最大級の人材開発研究(ATD)が示した答え - ATD25続編
ATD25で最もホットだったテーマ「AIコーチング」 2025年5月、ワシントンDCで開催されたATD International Conference(ATD25)。世界83カ国・8,400名が集結したこの会議で、私個人が持ち帰ったテーマの中でも最も印象深かったテーマの一つが「AIコーチング」でした。 帰国後に開催したATD25報告会(参加者70名以上)でも、参加者から最も多く寄せられた質問がこの質問でした。 「AIコーチは、人間のコーチを代替するのですか?」 本記事では、ATD25の学びをベースに、 ATD TD at Work 2025年11月号 (Lindsay Bernhagen & Al Dea著「Amplify Leadership Development With AI Coaching」)および McKinsey QuantumBlack (2025年8月)の最新知見を加えながら、この問いに正面から向き合います。 本記事は「ATD25レポート」の続編です。 ATD25全体の報告 は別のブログ記事をご覧ください。...
3月4日


ATD25ワシントンDC開催:現地参加報告レポート
2025年5月18日〜21日、ワシントンDCで開催されたATD25。世界最大規模の人材育成国際会議ATD International Conference & Expo(通称:ATD-ICE)現地で参加してきました。今年のテーマは”Collective Insights. Lifelong Learning.”。帰国後、参加者の皆さまと共に報告会を実施し、グローバルの最新トレンドや学びをシェアする機会を持ちました。 2026年はATD26ロサンゼルスでの開催が決定しています。参加を検討されている方、初めての参加を予定されている方にとって、少しでも参考になればと思い、報告会の内容を中心にATD25の様子をご紹介します。 ATD25:数字で見る大会の規模 今年のワシントンDC開催には、8,400名が参加。海外からは83カ国、1,300名以上が集結しました。日本からの参加者は146名で、カナダ、インドに次いで3番目に多い参加国となりました。 会期中、約400のセッションが13のラーニングトラックに分類され展開されました。現地で参加できるセッションは1日
1月18日


新入社員受け入れ準備の新常識:「エバーボーディング」
従来のオンボーディング指標からの脱却 春の新入社員受け入れに向けて準備を進めている時期かと思います。 TDマガジン最新号 より、オンボーディングの新しいアプローチをご紹介します。 従来の指標では、ビジネスへのインパクトを証明できない 『Move on From Traditional Onboarding Metrics(従来のオンボーディング指標からの脱却)』(著者:Amber Watts)は、多くの企業が依存している以下の指標に警鐘を鳴らします: 完了率 出席率 初日の満足度調査 これらは単なる「活動(Activity)」の記録に過ぎず、経営層が本当に知りたい「その投資がビジネスを改善したか?」という問いに答えられていません。 なぜ従来の指標は機能しないのか? 1. 完了 ≠ 能力 モジュールの「次へ」ボタンをクリックしたからといって、仕事ができるようになったわけではありません。完了率100%でも、目標達成率が低いケースは多々あります。 2. 満足度 ≠ 定着力 入社5日目の満足度が高くても、180日後もエンゲージメントが高く維持されていると
1月18日


グローバルトレンド:「Use AI」から「With AI」へ
プロンプト技術よりも、AIと「対話しながら考える」力が重要な時代 TDマガジン最新号 より、人材開発のグローバルトレンドを象徴する注目の記事をご紹介します。 プロンプティングが問題だ ATD TDマガジン2026年1月・2月号に掲載された『Prompting Is the Problem(プロンプティングが問題だ)』(著者:Josh Penzell)は、生成AIトレーニングの在り方に一石を投じる内容です。 現状の課題:「構文」重視のトレーニングの限界 多くの企業が実施しているAIトレーニングは、こんな内容ではないでしょうか? 「まず役割を設定してください」 「次に文脈を追加します」 「最後に出力形式を指定しましょう」 このようなプロンプトエンジニアリング(完璧な指示文の構文を教えること)は、一見理にかなっているように思えます。しかし、筆者は3つの深刻な問題を指摘しています。 問題1:AIの挙動は常に変化する AIモデルは決定論的(常に同じ答えを出す)ではなく、確率論的です。ハーバード・データ・サイエンス・レビューの研究によると、GPT-4の数学問
1月18日


新年の目標を立てるとき:心理学が教えてくれる「意味のある人生」のための10の知見
新年の目標を立てる時期、私たちは「どうすればより良い人生を送れるのか?」と考えます。 Greater Good Science Center(カルフォルニア大学バークレー校) が毎年発表している「意味ある人生の科学」から得られた知見は、その答えのヒントを与えてくれます。 2025年に発表された研究の中から、専門家チームが選んだトップ10の知見をご紹介します。今年の目標設定や組織づくりの参考にしていただければ幸いです。 1. 希望を持つことが、人生に意味をもたらす ポジティブな感情の中でも、特に「希望」が意味ある人生において重要な役割を果たすことが、 Emotion 誌に発表された研究で明らかになりました。 大学生を対象にした調査で、ある時点で希望を感じていた学生は、学期の後半により高い意味感を報告しました。興味深いことに、一般的なポジティブ感情では同じ効果が見られず、 希望が特別な役割を持つ ことが示されました。 さらに、その希望が現実的かどうかは関係ありません。 希望という 感情 を持つこと自体が重要なのです。 楽観的なニュースを読んだ人は希望
1月18日


2026年の目標達成に必要なのは「意志力」よりもあなたの「ウェルビーイング」
新年あけましておめでとうございます。 2026年が始まりました。今年をどんな年にしたいのか、すでに目標を立てられた方も多いのではないでしょうか? 今年こそダイエットを成功させる! 毎日運動する習慣をつける スマホの時間を減らす こうした目標を立てたとき、私たちはつい「もっと意志力があれば」「もっと根性があれば」と考えがちです。しかし、 Greater Good Science Center(カルフォルニア大学バークレー校) の最新研究が、この前提を覆す興味深い発見を報告しています。 目標達成の方程式が逆だった 従来、私たちはこう考えてきました: 「強い意志力で目標を達成する → 幸せになれる」 しかし、新しい研究はこれが逆であることを示しています: 「心身が健康で幸せである → 自己コントロール力が高まる → 目標を達成できる」 シンガポール国立大学の研究員Shuna Khoo氏は次のように述べています。 「自己コントロールに苦しんでいるからといって、必ずしも意志力や根性が根本的に欠けているわけではありません。心理的ウェルビーイングと日々良い気分
1月18日


幸せは「お裾分け」できる!&ホリデーシーズンに観たい映画8選
2025年12月テーマは 『共に喜びを見つけよう』 Calendar(月刊幸せカレンダー)は、幸福への1日1日のガイド。 Greater Good Science Center(カルフォルニア大学バークレー校) が監修する、有意義な人生のための科学に基づいた実践法の中でも私のお気に入り。 毎日の行動にちょっとした意図を込めることで、幸福感や人間関係、心の健やかさが高まることが研究で示されています。 このカレンダーは、そんな小さな実践をサポートしてくれるツールです。 他人の幸せを喜ぶと、自分も健康になる!? 「友だちに良いことがあったら、自分のことのように嬉しい」──そんな経験、ありませんか? 実は、この「他人の幸せを自分の喜びとして感じる」ことが、あなた自身の健康にも驚くほど良い影響を与えることが、最新の研究で明らかになりました。 ▼元記事(英語) https://greatergood.berkeley.edu/article/item/the_surprising_health_boost_of_feeling_happy_with_som
2025年12月10日
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