新年の目標を立てるとき:心理学が教えてくれる「意味のある人生」のための10の知見
- Satomi Uno

- 1月18日
- 読了時間: 7分
新年の目標を立てる時期、私たちは「どうすればより良い人生を送れるのか?」と考えます。Greater Good Science Center(カルフォルニア大学バークレー校)が毎年発表している「意味ある人生の科学」から得られた知見は、その答えのヒントを与えてくれます。
2025年に発表された研究の中から、専門家チームが選んだトップ10の知見をご紹介します。今年の目標設定や組織づくりの参考にしていただければ幸いです。
1. 希望を持つことが、人生に意味をもたらす
ポジティブな感情の中でも、特に「希望」が意味ある人生において重要な役割を果たすことが、Emotion誌に発表された研究で明らかになりました。

大学生を対象にした調査で、ある時点で希望を感じていた学生は、学期の後半により高い意味感を報告しました。興味深いことに、一般的なポジティブ感情では同じ効果が見られず、希望が特別な役割を持つことが示されました。
さらに、その希望が現実的かどうかは関係ありません。
希望という感情を持つこと自体が重要なのです。
楽観的なニュースを読んだ人は希望を感じ、それが人生の意味感を高めました。
実践のヒント:
困難な時こそ、ポジティブなニュースを探したり、状況が改善する可能性を思い出したりして、希望を育てましょう。
2. 道徳的であることと幸せであることは両立する
道徳的に生きることは自己犠牲を伴うのでしょうか?
Journal of Personality and Social Psychologyに発表された研究は、そうではないことを示しています。
米国、中国など複数の国で実施された調査で、家族や友人から「道徳的だ」と評価された人々は、より幸せで、より高い人生の意味感を報告しました。道徳的であることと幸せであることは対立しないのです。
なぜでしょうか?
研究者は「道徳的な人は他者とより良い関係を築いている」ことが一因だと考えています。
人々をよく扱うことは、自分の犠牲にはならない―これは、私たち全員のウェルビーイングが相互につながっていることの証拠かもしれません。
3. ウェルビーイングは細胞レベルで健康に影響する
心と体のつながりについて、新たな経路が発見されました:ミトコンドリアです。

Current Directions in Psychological Scienceに発表された論文によると、私たちの心理的・社会的経験はミトコンドリア(細胞のエネルギー生産工場)に影響を与えます。
人生の目的感や社会的サポートが高い人は、脳の前頭前皮質でミトコンドリアタンパク質のレベルが高いことが分かっています。
これは、メンタルヘルスとフィジカルヘルスを別々に扱うのではなく、統合的にウェルビーイングを考える必要性を示唆しています。
4. ほぼすべての活動は、誰かと一緒の方が楽しい
4年間で41,094人の参加者が評価した105,766の活動を分析した研究(Social Psychological and Personality Science誌)が、驚くべき発見をしました。
食事、読書、掃除に至るまで、ほぼすべての活動が他者と一緒の方が楽しいのです。
80以上のカテゴリーすべてで、この傾向が一貫して見られました。
さらに別の研究では、パートナーと一緒にポジティブな感情を経験すると、一人で経験するよりも健康効果が高い(コルチゾールレベルが低下)ことも分かっています。
実践のヒント:日常的な活動でも、誰かと一緒にすることを意識してみましょう。
5. 許すことで記憶は消えないが、苦しみは軽減する
許すことは忘れることを意味するのでしょうか?
Journal of Experimental Psychologyの研究は、そうではないことを示しています。

許した人々は、許していない人々と同じくらい詳細に出来事を覚えていました。
しかし、その出来事を思い出すときの感情的な負担ははるかに軽いのです。
許すことは、相手を正当化したり責任を免除したりすることではありません。自分自身のウェルビーイングを守りながら、正義を追求することもできるのです。
6. 信頼が人生全体のウェルビーイングを向上させる
250万人以上が参加した500以上の研究を分析したPsychological Bulletinの論文が、信頼の重要性を明らかにしました。

他者、制度、政府を信頼する傾向が高い人は、より幸せで人生に満足していることが分かりました。そして、ウェルビーイングが高いことが、さらなる信頼を育むという好循環も確認されています。
興味深いのは、私たちの不信は時に誤解に基づいているということです。
新入生を対象にした研究では、クラスメートの共感性についての正確な情報を提供することで、社会的リスクを取る意欲が高まり、社交時間が増加しました。
実践のヒント:人々は私たちが思っているより信頼に値することが多いのです。
7. 目的の源泉と効果は文化を超えて共通している
日本、インド、ポーランド、米国の1,000人以上を対象にした研究(The Journal of Positive Psychology誌)が、人生の目的について興味深い発見をしました。
幸福、自立、家族は各国でトップ5の目的源に入り、宗教と承認は最下位でした。
また、どの目的源が「良い人生」につながるかについても、文化を超えて大きな一致が見られました。
例えば、「意義を持つこと」を目的とする人は最も意味のある人生を送り、「内なる平和」「ポジティブな影響」「身体的健康」を追求する人はより幸せでした。
重要なのは、どんな種類の目的でも持つことが良い人生の鍵だということです。
8. 5歳児でさえ、謙虚な大人を好む
知的謙虚さ(自分の知識の限界を認め、新しい情報に基づいて考えを変える姿勢)は、子どもには難しい概念のように思えるかもしれません。
しかしDevelopmental Psychology誌に発表された研究では、5歳半の子どもたちでさえ謙虚さの価値を認識し、傲慢な大人より謙虚な大人を好むことが分かりました。
曖昧な物や言葉について、「間違っているかもしれない」と不確かさを表現する大人と、「絶対に正しい」と確信を示す大人を見せたところ、5歳半以上の子どもは全員、謙虚な人の方が賢く、優しく、好ましく、教わりたい相手だと評価しました。
子育てのヒント:大人が不確かさを認めることは、子どもにとって良いモデルになります。
9. 人々はロボットと関係を築いている―好むと好まざるとにかかわらず
AIチャットボットを恋愛パートナーとして利用するユーザーが世界中で数千万人に達しています。米国では高校生の約20%がチャットボットと恋愛関係を持った経験があるか、そうした人を知っています。
Computers in Human Behavior Reportsの系統的レビューによると、これらの関係は自己省察と個人的成長を促す一方で、感情操作や現実の人間関係の侵食といったリスクも伴います。
Perspectives on Psychological Scienceの論文は、AIチャットボットが人間関係の一部の機能を模倣できる一方で、「相手と交渉したり、相手のために犠牲を払ったりする経験」を提供できないと指摘しています。
この現象は人間のつながりにおけるギャップを露呈し、親密さがテクノロジーによってどう形作られるかを示していると研究者は述べています。
10. 富を除けば、幸福を支える他の要因が見えてくる
World Happiness Reportは毎年話題になりますが、今年の新たな分析「富調整済み生活満足度(WALS)」が注目を集めました。
これは「この国の富を考慮すると、どれくらい幸せか?」という問いを投げかけます。結果は明快でした。
ニカラグア、ネパール、キルギスタンといった国々は、はるかに裕福な国々に匹敵する、あるいはそれを超える生活満足度を報告しています。一方、韓国、香港、バーレーンなどは、GDPから予想されるよりも低いスコアでした。
何が違いを生むのでしょうか?研究は以下を挙げています:
質の高い仕事と意味のある労働
自律性と自由の感覚
社会的つながりとコミュニティへの関与
日常的な楽しみ
政策への示唆:経済成長だけに焦点を当てるのではなく、コミュニティ、意味のある仕事、個人の自由、住みやすく活気のある街づくりへの投資が重要です。
おわりに:2026年に向けて
これら10の知見に共通するのは、幸せと意味のある人生は、努力や練習を要するものもあれば、日々の小さな選択で育めるものもあるということです。

許し、信頼、道徳性、意味、目的――これらは一晩で身につくものではありませんが、個人と社会の繁栄にとって極めて重要です。
2026年、皆さまの人生と組織に、これらの知見が少しでも役立つことを願っています。
【出典】




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