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フォロワーが求める4つのニーズとは? Gallup「Global Leadership Report 2025」が示すリーダーシップの本質



はじめに:「フォロワーの視点」からリーダーシップを問い直す

Gallup社はWorld Governments Summit 2025との共同研究として「Global Leadership Report: What Followers Want」を発表しました。52カ国・72,439件の回答を分析した大規模調査であり、国・文化・年齢・リーダーの種別を超えて共通する「フォロワーの根本的なニーズ」を明らかにしています。

リーダーシップとは、権威や肩書きによって成立するものではなく、フォロワーが自らの意志でリーダーを信頼し、その方向に向かうことで初めて機能します。では、世界中のフォロワーはリーダーに何を求めているのでしょうか。


調査概要:Gallup Global Leadership Report 2025

調査対象国:52カ国(30言語で実施) 調査主体:Gallup × World Governments Summit 2025 回答数:72,439件 調査手法:Webアンケート(25カ国)+対面インタビュー(27カ国) 各国サンプル数:n=1,000


フォロワーが求める「4つのニーズ」

Gallupの分析が明らかにしたのは、52カ国・あらゆるデモグラフィックを超えて一貫する4つのニーズです。調査では「あなたの人生に最もポジティブな影響を与えたリーダーを表す言葉を3つ挙げてください」という自由回答形式の質問を用い、その回答をトピックモデリングとAIによって分類しました。



① Hope(希望)― 56%:第1位の圧倒的ニーズ

全回答の56%が「希望」に関連する属性に分類されており、他の3つのニーズを大きく引き離しています。希望は「インスピレーション・ビジョン」「成長・発達・達成」「楽観性・前向きさ」といったテーマで構成されます。

フォロワーは、リーダーに「未来はより良くなる」という確信と方向性を求めています。Gallupはこの希望を「現状よりも良い未来を信じ、そのために行動できるという感覚」と定義しており、リーダーが積極的に希望を育てる行動をとることの重要性を強調しています。


② Trust(信頼)― 33%:希望を支える基盤

全回答の33%が「信頼」に分類されます。信頼は「言ったことを守る」「誠実に行動できる」という実績の積み重ねから生まれ、チームが共通の目標に向けて協働するための土台となります。希望と信頼を合わせると全回答の約80%を占め、この2つがリーダーシップの中核をなすことがわかります。


③ Compassion(思いやり)― 7%:ケアとつながりの感覚

全回答の7%が「思いやり」に分類されます。フォロワーは、リーダーが自分のことを気にかけてくれていると感じることで、心理的安全性と帰属意識を得ます。ラテンアメリカ地域では思いやりへのニーズが9%と相対的に高く、文化的背景がリーダーシップ期待に影響することも示されています。


④ Stability(安定)― 4%:不確実性の中の拠り所

全回答の4%が「安定」に分類されます。変化が激しく予測困難な時代において、フォロワーはリーダーに「ブレない芯」「必要なときに頼れる存在」としての安定感を求めています。



リーダーのタイプによって異なる「希望(Hope)」の重み

4つのニーズの優先順位は一貫していますが、その比重はリーダーのタイプによって異なります。特に注目すべきは、組織内での立場が上がるほど「希望」へのニーズが高まるという傾向です。


リーダータイプ別・希望(Hope)への言及比率:

組織リーダー(経営幹部など):64%

マネージャー:59%

同僚:58%


→ 経営層に近いリーダーほど、フォロワーはより大きな「希望・インスピレーション」を期待する。

この知見は、経営幹部・シニアリーダーが「ビジョンと希望の体現者」としての役割を意識的に担う必要性を示しています。マネージャーには信頼構築と日常的なケアが、経営幹部には組織の未来を照らすビジョンの提示がより強く求められているのです。


日本のデータが示す特異なパターン

52カ国中、日本のデータは際立った特徴を示しています。


日本のデータ(Gallup 2025)

Hope(希望):46%(全体平均56%を大きく下回る)

Trust(信頼):45%(全体平均33%を大きく上回る)


→ 日本はHopeよりもTrustを重視する度合いが突出して高い国の一つであり、ルーマニア・スロバキアに並ぶ「信頼優位型」の国に分類される。

この結果は日本の組織文化・リーダーシップ開発に重要な示唆を与えます。日本のフォロワーは、派手なビジョンよりも「約束を守る」「誠実に行動する」「一貫性のある言動」をリーダーに強く求めている可能性があります。同時に、Hope(希望・インスピレーション・ビジョン)の提供が相対的に不足しがちな日本のリーダーシップ課題を浮き彫りにしてもいます。


希望とウェルビーイングの関係:リーダーは人の人生に影響する

Gallupの調査で特に重要な発見の一つが、リーダーが示す「希望」と、フォロワーのウェルビーイング(生活満足度)の関係性です。Gallupはカントリル・スケール(0〜10点)でフォロワーのウェルビーイングを測定し、次のような結果を得ています。


リーダーが示すニーズとフォロワーのウェルビーイングの関係

希望なし:

Thriving(よく生きている)33% / Suffering(苦しんでいる)9%


希望あり:

Thriving 38% / Suffering 6%


希望+信頼:

Thriving 37% / Suffering 6%


希望+信頼+安定:

Thriving 43% / Suffering 4%


希望+信頼+思いやり:

Thriving 39% / Suffering 4%


→ リーダーが多くのニーズを満たすほど、フォロワーのThriving率は高まり、Suffering率は下がる。

このデータが示すのは、リーダーシップとは単に組織のパフォーマンスを高める手段ではなく、人々の生活の質そのものに影響を与えるという事実です。良いリーダーのもとで働くことは、フォロワーの人生をより豊かにするという科学的な根拠が、ここに示されています。


優れたリーダーのためのプレイブック

Gallupはレポートの後半で、このデータを踏まえたリーダーシップ実践のフレームワークを提示しています。優れたリーダーになるために「知るべき3つのこと」と、成功する組織リーダーに共通する「7つの行動」です。


リーダーが知るべき3つのこと

  1. Know the Needs of Followers(フォロワーのニーズを知る):Hope・Trust・Compassion・Stabilityの4つのニーズを理解し、それを意識した行動をとる

  2. Know Themselves(自分自身を知る):自分の強みを把握し、それを磨くことでリーダーとしての独自性を発揮する。弱みを克服しようとするより、強みを最大化することが効果的

  3. Know the Demands of the Role(役割の要求を知る):自分のリーダーシップ役割に期待されることを理解し、強みをその要求に合わせて活用する


成功する組織リーダーに共通する7つの行動

Gallupが550以上の職種・360のコンピテンシーを分析した別の研究では、優れた組織リーダーが共通して示す7つの行動が特定されています。


  1. 【People】関係構築:つながりを築き、信頼を生み出す

  2. 【People】人材育成:明確な期待値の設定・励まし・コーチングで人を育てる

  3. 【Purpose】インスパイア:ポジティブさ・ビジョン・自信・承認で人を鼓舞する

  4. 【Purpose】明確なコミュニケーション:目的を持って簡潔に情報を伝え、傾聴する

  5. 【Decisions】変革のリード:新たなビジョンに沿って変化を導く

  6. 【Decisions】批判的思考:情報を深く考察し、問題解決を図る

  7. 【Performance】アカウンタビリティ:自分自身と他者がパフォーマンスに責任を持てる環境をつくる


注目すべきは、この7つの行動がフォロワーの4つのニーズと深く対応していることです。「インスパイア・変革リード」は希望と、「関係構築・コミュニケーション」は信頼と、「人材育成・励まし」は思いやりと、「批判的思考・アカウンタビリティ」は安定と連動しています。


日本のリーダーへの実践的示唆

Gallupの2025年データは、日本のリーダーシップ開発に取り組む私たちに明確な方向性を示しています。

日本においてTrustへのニーズが突出して高い一方でHopeが低い傾向は、「信頼できる・誠実なリーダー」は多いが、「未来への希望と方向性を示せるリーダー」が不足しているという現状を反映しているかもしれません。日本の組織リーダーに今最も求められているのは、ビジョンを語り、チームに「未来はより良くなれる」という確信を持たせる力かもしれません。

また、強みベースのリーダーシップ開発(Know Themselves)の重要性も改めて確認されました。自分の強みを知り、それをフォロワーのニーズ充足に意識的に活かすというアプローチは、株式会社クラリティアンが提供するマネジメント開発プログラムの中核でもあります。


まとめ:データが示すリーダーシップの本質

Gallup Global Leadership Report 2025が伝えるメッセージは明快です。国・文化・年齢を超えて、フォロワーはリーダーにHope・Trust・Compassion・Stabilityの4つを求めています。そしてリーダーがこれらのニーズを満たすほど、フォロワーのウェルビーイングは向上し、苦しみは減る。


リーダーシップとは、成果を出す「技術」である以前に、人の人生に影響を与える「責任」です。このデータを手元に、あなたのリーダーシップを見つめ直してみてください。




参照資料


本記事は、Gallup「Global Leadership Report 2025: What Followers Want」(Copyright © 2025 Gallup, Inc.)をもとに、株式会社クラリティアンが独自に要約・解説・編集したものです。原典の著作権はGallup, Inc.に帰属します。

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