
March 2025
ISSUE 03
本ニューズレターは弊社が日頃お世話になっている方々、過去に名刺交換させて頂いた方々にお送りしております。タレントディベロップメントに関する最新情報・グローバルトレンド、弊社の新しいコンテンツ・サービスやイベント情報についてお送りします。

TD Magazineは、世界最大の人材開発専門家の非営利団体であるATD(Association for Talent Development)が発行する定期刊行物です。 この雑誌は、最新の人材開発のトレンド、ベストプラクティス、研究成果などを紹介、効果的なトレーニングプログラムの設計と実施方法・次世代リーダー育成戦略やリーダーシップ開発・テクノロジーの最新動向とその活用方法・組織開発などのトピックを取り扱っています。日本の人事・人材開発担当者や対人支援者にとって、グローバルな視点からの洞察を得る貴重なリソースとなります。 最新の人材開発の動向を把握し、自身の専門性を高めるための有益な情報源として、TD Magazineの活用をお勧めします。
ATDとは? ATDは、1943年に設立され、現在では120以上の国と地域で活動する国際的な組織です。 その会員は、企業の人事・人材開発担当者、トレーナー、コンサルタントなど多岐にわたり、組織のパフォーマンス向上を目指して人材育成に取り組んでいます。
Leaders in Transition
By Christine Mixan
本記事では、リーダーがキャリアの中で経験する様々な移行期(昇進、新たな責任、退職準備など)において、どのように支援できるかを解説しています。特に、「STEPS」モデル(Scan、Tailor、Explore、Plan、Stay Connected)を用いた移行期のコーチングを紹介し、リーダーが移行期を成功裏に乗り切るための実践的なアプローチを提供。組織内でのリーダー育成の重要性を強調しています。
STEPSモデルの概要
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Scan(スキャン)
・組織内でリーダーの意向がどこで発生しているかを特定し、支援の方法を検討する。
・人事システムや内部ネットワークを活用し、昇進や異動の情報を収集。 -
Tailor(カスタマイズ)
・役職ごとに直面する可能性のある課題をリスト化し、リーダーごとに適した支援を提供。
・例:初めてのマネジメント経験者には「同僚との関係構築」、新任役員には「組織全体の戦略設計」など。 -
Explore(探求)
・リーダーと直接対話し、彼らが直面する課題を深く掘り下げる。
・質問を通じて、リーダーの視点を広げ、潜在的な課題を明確にする。 -
Plan(計画)
・具体的なコーチングプランを作成し、継続的な支援を設計。
・コーチングの頻度や目標を設定し、必要に応じて上司も巻き込む。 -
Stay Connected(継続的な関与)
・コーチング終了後もフォローアップし、リーダーが継続して成長できる環境を整える。
・例:定期的なチェックインや、必要に応じた追加コーチング。
リーダーの移行期において、すべてのステップが重要ですが、特に「Explore(探求)」と「Stay Connected(継続的な関与)」が鍵となります。
1. Explore(探求)ー リーダーの自己認識を深め、適応力を高める
リーダーが新たな役割に適応する上で、自身の課題や強みを深く理解することが欠かせません。
このステップでは、質問を通じてリーダーが自身の置かれた状況を俯瞰し、新たな視点を獲得することが目的です。
特に重要なポイント
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思考の転換:「これまでのやり方が新しい環境でも通用するのか?」を再評価する。
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自己認識の強化:「どのスキルや価値観が活かせるか?」を明確にする。
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ステークホルダーとの関係性を見直す:「これまでとは異なる影響力が求められるのでは?」と考える。
たとえば、現場のリーダーから経営層に昇進した場合、これまでの「実行重視のスキル」ではなく、「戦略的な意思決定力」が求められるようになります。この変化を自ら認識し、適応することが成功の鍵となります。
2. Stay Connected(継続的な関与)— リーダーの成長を支援し、定着を促す
リーダーの適応は「移行期」だけで終わるものではなく、その後も継続的なサポートが必要です。
このステップでは、フォローアップやフィードバックの仕組みを整え、リーダーが学び続けられる環境
を提供することが求められます。
特に重要なポイント
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フィードバックの活用:上司・同僚・部下からの360度フィードバックを活かし、改善の方向性を定める。
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メンターやコーチの活用:他の経験豊富なリーダーとの対話を通じて、新たな視点を得る。
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現場での適応力の確認:「リーダーとしての行動が組織にどのような影響を与えているか?」を振り返る。
たとえば、新しいリーダーが適切なマネジメントを実践できているかどうかを定期的なチェックインで確認し、必要に応じて追加のコーチングを提供することで、スムーズな移行を促せます。
リーダーの移行期における成功は、「適応力」と「継続的な学習」にかかっています。そのため、自らの強みと課題を探求し、成長プランを持ちつつ、組織のサポートを活用することがカギとなるでしょう。