日本のエンゲージメントは8%——世界最低水準が続く中で、何が変わり、何が変わっていないのか
- Satomi Uno

- 6月5日
- 読了時間: 4分
Gallupが毎年発表する「State of the Global Workplace」は、160カ国以上の従業員データをもとにした、世界最大規模の職場実態調査です。2026年版(2025年データ)では、グローバル全体のエンゲージメントが2年連続で低下するという、調査史上初めての事態が記録されました。そして日本のデータは、その文脈においてあらためて、私たちに重い問いを突きつけています。
日本のエンゲージメント:8%という数字が意味すること
8% 日本の従業員エンゲージメント率(2025年) 2012年以来、5〜6%台で推移してきた水準から微増
20% グローバル平均のエンゲージメント率(2025年) 日本はその半分以下
12年以上 日本が世界最低水準に低迷してきた期間 (2012年〜現在)
8%。これは、日本の職場で働く10人のうち、仕事に心理的にコミットしているのはわずか

1人にも満たないという現実を意味します。
日本のエンゲージメント率は、2012年のGallup調査開始以来、一貫して5〜6%台という世界最低水準に低迷してきました。2025年に8%へ微増したことは、ごくわずかな前進です。しかし同時期のグローバル平均(20%)と比較すると、日本はその半分以下にとどまっています。この差は、単なる文化的差異では説明しきれない、組織・マネジメントの構造的な問題を指しています。
さらに深刻なのは、8%が「世界最低水準から微増した」という事実よりも、12年以上にわたってこの状態が続いてきたという長さです。施策や研修を重ねてきてもなお、なぜ数字が動かなかったのか。その問いへの答えが、今年のGallupレポートのなかにあります。
なぜ今、グローバルでもエンゲージメントが下がっているのか

2年連続 グローバルエンゲージメントが低下した年数 Gallup調査史上初めて
$10兆 低エンゲージメントによる世界の生産性損失(年間) GDP比約9%
9pt低下 マネジャーのエンゲージメント低下幅(2022〜2025年) 27%→22%。1年で5pt急落
2025年、グローバル全体のエンゲージメントは20%へと低下しました(2022年のピーク23%から3ポイント減)。
世界のどの地域でも、エンゲージメントが上昇した地域はゼロです。
Gallupが今回の下落の主因として指摘しているのが、マネジャー層のエンゲージメント急落です。2022年から2025年の3年間で9ポイント低下し(31%→22%)、特に2024年から2025年の1年間だけで5ポイントという急落を記録しました。
かつてマネジャーは一般社員より高い「エンゲージメントプレミアム」を享受していましたが、今やその差はほぼなくなりつつあります。
ただし、Gallupはこの状況を「不可避ではない」と明言しています。ベストプラクティス組織では、マネジャーのエンゲージメントが79%——グローバル平均の約4倍——に達しています。マネジャーへの正しい投資が、状況を変えることができるのです。
リーダーの逆説:エンゲージメントは高いが、感情的負担も大きい
今年のレポートが示した興味深い知見のひとつが、リーダーシップと感情の関係です。リーダー・マネジャー・一般社員を比較すると、職位が上がるほどエンゲージメントとウェルビーイングは高い傾向にあります。しかし同時に、リーダーは一般社員と比べて、
ストレスを感じる割合:+7ポイント高い
怒りを感じる割合:+12ポイント高い
悲しみを感じる割合:+11ポイント高い
孤独を感じる割合:+10ポイント高い

立場が上がるほど、エンゲージメントは高まる一方で、感情的な孤独と負荷も増す。
この「リーダーの逆説」は、日本の職場においても、決して他人事ではないはずです。
マネジャーを支援することは、チームを守ることと同時に、マネジャー自身を守ることでもあります。
AIと職場:期待と現実のギャップ
AI導入済みの組織においても、「AIが職場のやり方を変えた」と強く感じている従業員はわずか12%にとどまります。一方、AIを個人の生産性向上に役立てている従業員は65%に達しており、個人レベルの手応えと組織レベルの変革の間には大きな乖離があります。
この乖離を埋めるカギも、やはりマネジャーです。
マネジャーがAI活用を積極的にサポートしている組織では、従業員がAIの組織的変革を強く実感する確率が8.7倍、AIが自分の強みを発揮する機会を増やすと感じる確率が7.4倍に達します。テクノロジーの導入だけでは、変革は起きない——Gallupのデータはそのことを、改めて明確に示しています。
日本のL&Dプロフェッショナル、そしてリーダーの皆様へ
「日本のエンゲージメントが低い」という事実は、多くの人がすでに知っています。しかし「なぜ12年以上変わらなかったのか」という問いに向き合うことは、まだ十分にできていないかもしれません。
Gallupのデータが一貫して示してきた答えのひとつは、「マネジャーへの投資の欠如」です。評価制度、研修、AIツール——何を導入しても、現場のマネジャーがチームに正しく関わることができなければ、エンゲージメントは動きません。8%から次の一歩を踏み出すために、今、何に投資するべきか。そのヒントは、このデータの中にあります。
参照資料
『2026年世界の職場の実態』(Gallup, State of the Global Workplace 2026 Report)は、ギャラップ社が発行している最新レポートです。本記事は上記レポートをもとに、株式会社クラリティアンが独自に要約・解説・編集したものです。原典の著作権はGallup社に帰属します。
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