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ジョブ・クラフティング -職務を再設計するボトムアップのアプローチ


もし従業員が自らの仕事を再設計し、情熱を再燃させ、パフォーマンスを高め、エンゲージメントを促進できるとしたら?

職務を再設計するボトムアップのアプローチであるジョブ・クラフティング。


スタートは2001年、仕事のタスクまたは人間関係の境界線に対して個人が行う物理的および認知的変化として、組織学者のAmy WrzesniewskiとJane E. Duttonによって基礎研究が行われました。「仕事の再構築:従業員を自らの仕事の能動的創造者として再定義する」では、ジョブ・クラフティングを「個人が仕事のタスクや関係性の境界において行う身体的・認知的変化」と定義しています。

その後、ジャスティン・M・バーグやアダム・グラントといった思想リーダーたちがこの概念を発展させ、今日までジョブ・クラフティングが長期的なエンゲージメントと適応力をいかに育むかを探究してきました。


ポジティブ心理学にて研究&今も進化し続けるキャリアの最新の考え方であり、近年、グローバルで注目が集まっているジョブ・クラフティング。

日本でも取り入れる企業が増えてきています。


TDマガジン10月号掲載の記事「The Case for Job Crafting」by Bethany Adamsにてジョブ・クラフティングの3つの種類について解説しています。

ジョブ・クラフティングの3つの種類


1. タスク・クラフティング (Task crafting):

職務内の責任や活動に意図的で小さな変更を加えることです。

これには、より効率的または創造的な方法で既存のタスクを実行することや、楽しんでいるタスクをより多く引き受けることが含まれます。


2. 関係性のクラフティング (Relational crafting):

仕事における社会的なダイナミクスを見直し、誰とどのように交流するかを再構築することに焦点を当てます。

例えば、L&Dスペシャリストがチームの課題をよりよく理解するためにフロントラインマネージャーとの定期的な会話を求めたり、外部の専門家ネットワークに参加したりすることが挙げられます。


3. 認知・意味のクラフティング (Cognitive crafting):

仕事をより個人的に意味のあるものにするために、その仕事に対する考え方(意味づけ)を再構築する最も内面的な形式です。

たとえば、病院の清掃員が自分の仕事を単なる清掃ではなく、患者の回復とケアに貢献していると捉えることなどです。


TDプロフェッショナルの役割

ジョブ・クラフティングは従業員主導の行動ですが、TD(タレント開発)機能は、組織全体でこれを可能にし、持続させるための条件を作り出す上で重要です。


意識の構築:

ワークショップや内省ツール(例:「仕事で最も役立つと感じるのはいつか?」)を通じて、ジョブ・クラフティングを正当な開発戦略として位置づけることができます。


マネージャーのトレーニング:

マネージャーは、直属の部下が特定のタスクに熱意を示したり、プロセスの改善を提案したりするなど、クラフティング行動を認識し、支援する方法を学ぶ必要があります。

マネージャーが好奇心をもって対応することで、従業員は自分の強みにより合った仕事をする方法について発言しやすくなります。


L&Dエコシステムへの統合:

ストレッチアサインメントやメンターシップの機会など、既存のL&D戦略とジョブ・クラフティングを結びつけることで、長期的な成長の一部として位置づけられます。

ジョブ・クラフティングを成功させるには、従業員が自分自身の感情、強み、ニーズに敏感である必要があるため、感情的知性(EI)、特に自己認識と社会的認識のスキルが不可欠です。


正式な開発計画や役割合意がジョブ・クラフティングを支えることもあるが、このプロセスは往々にして、従業員が既存の役割の中で行う非公式で自律的な変化として始まる。


筆者(Bethany Adams)は、リーダーがスタッフにわずかな自律性を促したときに、ジョブ・クラフティングに息吹が吹き込まれ、その結果として各自の役割に対するエネルギーと主体性がより高まるのを目撃してきた、と語っています。


How Much Are You Already Crafting?

あなたはすでにどれぐらいクラフティングを実践しているでしょうか?


以下の記述のうち、自分に当てはまるものを考えてみてください。


◻︎ 私は自分の強みに合うよう、時間をかけて職務内容を調整してきた。

◻︎ 職場では、私を鼓舞し、成長を促してくれる人との関係性を築いている。

◻︎ 自分の仕事に大きな目的を見出せている(たとえそれが常に明白ではないとしても)。


一つでも当てはまるなら、あなたはすでにジョブ・クラフトを実践中です。

では、次の問いです:


あなたは他者がジョブ・クラフティングを実践するのを、どのように支援していますか?


今年ブリスベンにて開催された第9回IPPAポジティブ心理学世界学会においては、ジョブクラフティングの最新として新たな2つの方法が追加提示、合計5つの方法の実践プラクティスが紹介され、まだまだ進化中。

ジョブ・クラフティングの実践は目が離せません。


TD Magazine世界最大の人材開発専門家の非営利団体であるATD(Association for TalentDevelopment)が発行する定期刊行物です。この雑誌は、最新の人材開発のトレンド、ベストプラクティス、研究成果などを紹介、効果的なトレーニングプログラムの設計と実施方法・次世代リーダー育成戦略やリーダーシップ開発・テクノロジーの最新動向とその活用方法・組織開発などのトピックを取り扱っています。

日本の人事・人材開発担当者や対人支援者にとって、グローバルな視点からの洞察を得る貴重なリソースとなります。最新の人材開発の動向を把握し、自身の専門性を高めるための有益な情報源として、TD Magazineの活用をお勧めします 。


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